在留資格「特定技能」を取得するためには、所定の「技能試験」と「日本語能力試験」をクリアする必要があります。特定技能外国人は即戦力として期待される人材であり、そのため一定以上の日本語能力が求められます。この記事では、特定技能資格を取得する際に必要な日本語の要件について、具体的な試験内容や求められるレベルについて解説します。
日本語能力を証明する試験:JLPTとJFT-Basic
特定技能の資格を得るためには、日本語能力を証明するために主に2つの試験が利用されます。
- 日本語能力試験(JLPT)
JLPTは、日本語の能力を5つのレベル(N5~N1)で測定する試験です。年に2回実施され、日本国内外で幅広く受験されています。特にN4レベルは、特定技能外国人に求められる日本語能力の目安としてよく挙げられます。JLPTはペーパー方式で、試験科目は「文字・語彙」「文法・読解」「聴解」の3つに分かれています。 - 国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)
JFT-Basicは、主に日本語能力の基礎的な理解を測るための試験で、コンピュータを用いた選択式テスト(CBT方式)です。JLPTと異なり、国内外で高頻度で実施されており、結果も比較的早く通知されるため、特定技能の申請手続きをスムーズに進めたい場合に有効な選択肢です。JFT-Basicは、A2レベルに相当する能力を判定します。
特定技能に必要な日本語能力
特定技能における日本語能力の要件は、業種によって異なりますが、基本的には日常的な業務を日本語で円滑に進めるための能力が求められます。
JLPT N4レベル:
N4レベルは、基本的な日常会話や文章を理解する能力が求められるレベルです。具体的には、身近な話題について書かれた文章を読むことができ、ゆっくりと話される日常会話を理解できることが求められます。これにより、特定技能外国人は、業務中に必要なコミュニケーションを十分に取ることができます。
JFT-Basic A2レベル:
JFT-BasicのA2レベルは、基本的な日常的な事柄について、簡単な日本語で情報交換をする能力を測定します。具体的には、自己紹介や家族・職場に関する情報、簡単な買い物や日常的な事柄について説明ができるレベルです。このレベルの能力があれば、特定技能外国人として日本での業務に必要な最低限の日本語能力を証明できます。
両者のレベルは、表現方法こそ異なりますが、同等の日本語能力を証明するものと見なされています。
特定技能における試験選択と活用
特定技能資格の申請において、JLPTとJFT-Basicのどちらの試験を選ぶかは、実施頻度や試験結果の通知スピードなど、実際の申請状況によって決まります。JLPTは年に2回しか実施されず、試験結果が出るまでに時間がかかるため、特定技能の申請を迅速に行いたい場合には、JFT-Basicを利用する方が適していることもあります。
ただし、どちらの試験にも発話(会話)のテストは含まれていません。そのため、面接時には通訳に頼らず、実際に本人と日本語で会話を行い、会話力を確認することが重要です。特に日本での業務においては、日常的な日本語でのやり取りが必要となるため、会話力の確認は不可欠です。
結論
特定技能を取得するための日本語能力の要件は、業務に必要な基本的な日本語の理解とコミュニケーション能力を証明することです。JLPTのN4レベルまたはJFT-BasicのA2レベルをクリアすることで、業務に支障なく日本語での業務を遂行できる能力を示すことができます。申請時の状況やスピードを考慮し、適切な試験を選択し、日本語能力を証明することが、特定技能の資格取得への重要なステップとなります。
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